夢追い人の大将が手がけた

和食店の塩と藻塩

天草塩の道

川上 純子さん

和食料理人として数十年腕を振るった大将が、晩年の夢として追いかけたのはなんと、塩。「天草塩の道」の「天草塩」は、料理人が自ら作った渾身の一作です。

「倉岳おろし」が吹く棚底地区で生まれた塩

天草上島の東海岸に広がる天草市倉岳町。天草最高峰として知られる倉岳の山頂には、水が湧き出す井戸があり、登山道では、小さな沢をあちらこちらにみることができます。冬の北風「倉岳おろし」の通り道となる同町棚底地区は、吹きすさぶ暴風から家々を守るための防風石垣で知られます。100年以上の歳月を重ねた石垣が立ち並ぶさまは、さながら、古代の遺跡のような景観です。また、「コグリ」と呼ばれる農業用地下水路が数十箇所も点在し、豊かな地下水脈に恵まれた地域でもあります。
この地区ならではの風の通りや、清らかな水資源に着目し、棚底の海辺に塩工房「天草塩の道」を開いたのは、「ホテル・食事処 河丁」の先代 川上昭和︎さんです。天草灘の魚介を味わえる店として知られる同店で、ひたむきに食と向き合い続けてきた昭和︎さんは、「天草の食材の持ち味を引き出すためには、昔ながらの製法でつくられた塩が必要」と一念発起。識者とともに研究や試行錯誤を重ね、2004年から塩の製造を始めました。

味の要は塩にあり。料理人にファン多数

倉岳近海の海水を汲み上げ、スプリンクラーから海水を噴霧させながら水分を飛ばし、18%まで塩分濃度をあげたかん水が、この塩の原料です。巨大な釜にかん水を入れ、薪火の熱で炊き上げること約30時間。こうして生まれた釜炊き塩は熟成期間を経て消費者の元へ届けられます。志半ばで病に倒れた昭和さんの思いを継ぎ、商品化を続けるのが、妻であり女将の川上純子さん。熟成されている釜炊き塩を販売する直前に天日干しし、サラサラとした使い勝手のいい塩に仕上げるのも純子さんの仕事です。 製塩の副産物として生まれたにがりに、天日干ししたカジメコンブを漬け込んで作った「藻にがり」を釜炊き塩に加え、天日干しにした「藻塩」もあります。カジメコンブに含まれるアミノ酸がうまみ成分に変わることで、甘味とうまみを感じられます。こうして作られる塩は、使い勝手の良さから飲食店からのオーダーも多く、「料理の味が格段に変わった」という声も届くほどで、全国にファンが広がっています。

天草塩の道

〒863-1901 天草市牛深町2912-20 TEL 0969-73-4985

【採水場所】倉岳沖の八代海 【工程】釜炊き後に仕上げで天日干し 【おすすめ食材&料理法】肉魚の調理時の振り塩、野菜のおひたしなど

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