牛深の名物をつくりたい!

親子がつくる、天草灘の塩

塩工房  宝島

戸谷 泰典さん・俊介さん 親子

アクアブルーにきらめく海と白砂の浜辺。「茂串海水浴場」は、九州屈指の美しいビーチとして知られます。そのすぐそばの入り江にひっそりと佇むのが、「塩工房  宝島」です。

塩で、牛深を元気にしたい

天草最南端の町・牛深は、深い入り江と丘陵に囲まれた良港で、漁業はもちろん、外国の帆船が出入りする海運の要地として栄えました。江戸期から歌い踊り継がれる牛深ハイヤの陽気なメロディは、昔の賑わいを今に伝えるもののひとつです。そんな牛深では近年、まちの魅力を発信しようとさまざまな取り組みを行う人が増えています。「塩工房  宝島」の戸谷泰典さんもそのひとりです。茂串地区に生まれ育った戸谷さんは、土木会社の現場監督として働く傍ら、地域づくりへの提言を行うなかで、「かつて牛深の産物のひとつとして作られていた塩を、もう一度復活させたい」という思いを抱き始めました。
「せっかくきれいな海水があるのに、何かにいかさないのはもったいない。塩を作り、水産加工品や農産加工品に使ってもらうことができれば、牛深の産品としての価値も高まります。漁業者や農業者の収入が1割でも2割でも上がれば、みんなが豊かになるでしょう。うまくいけば、地域のなかに新しい仕事ができるかもしれない。そう思ったらやらないわけにはいきませんよね」。

独学で始めた塩づくり

周囲の後押しもあって戸谷さんは2003年、茂串海水浴場のすぐそばに「塩工房  宝島」を構えました。
「人の真似ではなく、オリジナルの塩を作りたい」。
島内外の製塩所を見学することはあえてせず、小さな小屋を自作し、設備などすべてをゼロからつくりあげました。近所の水産加工場で不要になった釜をもらい受けるなど、知人たちの手を借りながら、試行錯誤を繰り返した戸谷さん。「初めてできた塩をエビにつけて食べてみたら、エビのうまさが際立って驚いた。これならいけると思いました」。改良を重ね、納得のいく塩ができたのは、それから半年後のことでした。

海から吹き上げる風と太陽で仕上げ干し

試行錯誤と手間ひまが生んだサラサラの塩

沖合3キロから汲み上げた海水を船のタンクに貯蔵し、使う分だけ釜に移し替えて薪で炊き上げるのですが、ここに、もうひと手間を加えるのが戸谷さん流。できた塩を網に広げ、天日干しにするのです。強い海風が吹く場所に干すことで、日照時間の少ない冬場でも塩が乾燥しやすく、サラサラとした使い勝手のいい塩が生まれます。
「余分なにがりを取り除く工夫もしているので、苦味がなくなり、まろやかな味の塩ができます。苦味をいかすか、苦味を抜いて甘みとコクを前面に出すのかは、作り手の加減次第。うちは後者ですが、他にもいろんな塩があるのでお客様の好みでお選びいただければ」と語る戸谷さん。百貨店や物産館で販売されるほか、最近では、飲食店や地元の蒲鉾店でも使われるようになりました。
「うちの塩で蒲鉾の仕上がりが変わったと言われた時はうれしかった」と微笑む戸谷さん。「塩で牛深の魅力を伝えたい」という戸谷さんの思いが、少しずつ、地域を動かし始めています。

下に布を敷くことで、余分なにがりを取り除く

茂串海岸のすぐそばにある静かな入り江

塩工房 宝島

〒863-1901 天草市牛深町1763-3 TEL 0969-73-4525

【採水場所】茂串海岸沖 【工程】釜炊きしたあと天日干し 【おすすめ食材&料理】肉、魚、蒸し料理

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